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第13回 サイエンスカフェ(防災研究座談会)を開催しました

2017年3月1日(水)に、生活科学部大会議室にて「第13回 サイエンスカフェ(防災研究座談会)」を開催しました。

今回は、同志社大学 社会学部・教授の立木 茂雄先生にお越しいただき、「災害と要配慮者をめぐる最近の動向」について話題提供をいただきました。

2004年7月新潟・福島豪雨水害での高齢者の集中的な被害を受けて、2005年3月に「災害時要援護者の避難支援ガイドライン」が策定されました。2007年3月の能登半島地震や同年7月の中越沖地震では福祉避難所が開設されるなど、「ガイドライン」に沿った対策が着実に展開されましたが、2011年3月の東日本大震災でも高齢者や障がい者に被害が集中しました。これを受けて日本政府は災害対策基本法の改正に踏み切り、高齢者や障がい者などを「要配慮者」と位置づけ、その中でも避難移動に支援が必要な層は「避難行動要支援者」とし、その名簿の作成を自治体に義務づけるなどの対応を行いました。一方、障害者の権利条約が2006年12月に国連で採択されたことを受けて、日本政府も国内障害者法制度を権利条約と整合させるために制度改正や新法制定などの調整を進めていました。その最後の詰めを迎える中で発生した東日本大震災を受けて、障害者基本法に防災・防犯の項目が新たに加わりました。さらに国連アジア太平洋経済社会委員会(ESCAP)は、アジア太平洋障害者の10年(2003-2012)の総括文書である2012年12月のインチョン戦略の中に「障害インクルーシブ防災」をつけ加えています。このような国内・国際での議論を踏まえ、2015年3月の仙台防災枠組み(2015-2030)では、「インクルーシブ防災」を防災・減災の原則に加えることになりました。

2016年4月の熊本地震は、これらの防災と障害者法制における国内と国際の潮流が合流し、様々な混乱と併せてベストプラクティスの渦をも生む災害でした。このような災害と要配慮者への対策の過去・現在を、国内と国際の潮流から展望し、今後の方向性について考えました。


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